厳しい予算、二酸化炭素排出量問題、高エネルギーコスト。このような問題に直面する情報統括役員やIT管理者は、電力を大量消費し、熱に弱いデータセンターで、どうすれば経費やエネルギー消費量を節約し、さらに効率を高めることができるかを模索しています。
業界の専門家Jonathan Koomey氏の研究によると、2005年から2010年までに世界中のデータセンターによって使用された電気量が約56%増加したと推定されました。また、データセンターの電気使用量が2010年の世界総電気使用量の1.3%、さらに米国内の総電気使用量の2%を占めていたことも同研究により推定されました。
「無理だと思われていたこと」。 この問題に対する業界の取り組みを支援するため、エマソンはEnergy Logicを開発しました。これは定量分析に基づいた、データセンターのエネルギー消費量削減を目指した初の包括的アプローチで、第一に余分な熱負荷を削減することを重視しています。エマソンが推奨する対策を取ると、既存の技術を使用しながら、データセンターのエネルギー消費量を最低でも50%削減することができます。その結果、世界のデータセンター業界全体として、数十億ドルのエネルギーコストを削減することが可能になります。
何をするべきかを分かりやすくするため、一般的な5,000平方フィートのデータセンターのエネルギー消費量をモデルにしました。エマソンのエンジニアがエネルギー削減の可能性を慎重に分析し、各対応によって削減できる消費量を定量化し、あるシステムで削減されたエネルギー消費量がそれぞれの補助システムでのエネルギー消費量にどのように影響するかを調べました。
この分析で明らかになったのは、データセンターのエネルギー消費量を削減するには、まずIT機器から着手するのが最善であるということです。これはIT機器で削減したエネルギー消費量が、それを支援するインフラを通じて「カスケード(滝のように上位から下位に伝達・増幅していくこと)」効果をもたらすためです。たとえば、エマソンのデータセンターモデルでは、サーバーコンポーネントのレベルで1ワット削減すると、それ以外に何もしなくてもさらに1.84ワット削減され、合計で2.84ワットの削減を達成することができます。
この分析を使って、エマソンは、データセンターのエネルギー効率の改善を図るための10の最重要戦略をまとめました。最初にIT機器を検討して、その後、冷却システムなどの支援インフラを検討するようになっています。
エマソンのEnergy Logicアプローチは特定のベンダーに依存しないロードマップです。Energy Logicで推奨するテクノロジーは現時点ですべて入手可能なものばかりで、定期的なテクノロジーアップグレードの一環として段階的に導入できるため、経費を最低限に抑えることができます。またエマソンのモデルでは、10の戦略それぞれについて投資収益率(ROI)と投資回収期間が計算されており、特定のデータセンターで最も効率的なテクノロジーを選定するのに役立ちます。
今日、データセンターの管理者が直面している最も深刻な問題は、電力、冷却、スペースの3つの制約です。この戦略には、このような制約を緩和するという付加的なメリットもあります。エマソンのデータセンターモデルでは、Energy Logicの10の最重要戦略を導入することで、貴重な上げ床スペースを3分の2、UPS(無停電電源装置)容量を3分の1、さらに精密冷却能力を40パーセント開放することに成功しました。
エマソンEnergy Logicの最重要戦略
エマソンが推奨する、データセンターのエネルギー効率改善のための10の戦略を説明します。
1. 低消費電力プロセッサ: 今日使用されている一般的なプロセッサの平均的な熱設計電力(TDP)は91ワットです。しかし製造業者には低電圧プロセッサというものもあります。これは標準プロセッサよりも消費電力が平均30ワット低いにも関わらず高電圧プロセッサと同程度の性能を発揮するものです。これを使用した場合、データセンターの総消費電力量を10パーセント削減することができます。
2. 高効率電源: 電源装置にクラス最高のテクノロジーを使用することで、90%以上の電源効率を達成し、データセンター全体の総消費電力量を124キロワット削減することができます。これは総消費電力量1,127キロワットの11%にあたります。部分負荷時にすぐれた性能を示す電源装置があるため、こうした電源装置を選ぶことが重要です。